<バレーボール・全日本高校選手権:下北沢成徳3-0誠英>◇13日◇女子決勝◇所沢市民体育館

 下北沢成徳(東京)が誠英(山口)を3-0で破り、10大会ぶり2度目の優勝を飾った。

 スコアの上ではストレート勝ちだが、簡単な試合ではなかった。2、3セットは激しい競り合いになり、何度も相手にリードを許した。エースの小笹奈津子(3年)は「以前は心が弱くて、相手の流れになってしまうと逆転できなかった。第2セットで逆転できたのは成長。勝因はみんなが試合から逃げ出さなかったこと」という。小笹自身も何度ブロックされても「吹っ飛ばしてやる」の気迫でスパイクを打ち続け、プレーでチームを鼓舞し続けた。その姿に2年生の辺野喜未来も続いた。何度もブロックに跳んで相手の攻撃を寸断。2人が17得点で並び、チームを勝利に導いた。

 小川良樹監督から「心が弱い」と言われ続けたチームだった。先輩たちのように仲間のプレーでのミスを指摘することができず、微妙な距離感があった。小笹もメンタル面の弱さを指摘されていた。昨年のチームで唯一メンバーに入っており、主将を務めるはずだった。だが、エースと主将の重責を背負い込むことは難しく、見かねたチームメートの寺沢歩花がコート外でチームキャプテンに立候補し、小笹はゲームキャプテンとしてコート内に集中できるようアシストしてくれるほどだった。自慢のスパイクもブロックがつくと弱気が出て、かわして打ったスパイクがミスになるなど、試合の流れを悪くすることもあった。

 だが、最後の「日本一」のチャンスにチームが結束した。大会では難敵が続く厳しい組み合わせ、難しいゲームに「勝ちたい」と思う気持ちから、弱気になっているチームメートに「そんな顔してたら、また決められるよ」など厳しい言葉もかけられるようになった。小笹自身も逃げることなく、相手のブロックを突き破る意気込みでスパイクを打ち続けた。「スパイクを3度はね返されても、セッターがトスを上げてくれた。みんながブロックされてもフォローに入るからと言ってくれた」と振り返る。

 コート外からの指示と声援でチームを鼓舞した寺沢主将は「1本取るたび、1試合勝つたび、チームが変わっていった。今日、優勝した時点で一番最高のチームになりました」とチームの成長を誇らしげに話した。遅咲きのチームが最後の最後に10大会ぶりの「日本一」を勝ち取った。