阪神は秋季キャンプを打ち上げた。11月17日、高知・安芸に球児監督の満足そうな姿があった。このキャンプ、伝わってくるのは若い選手の躍動だった。あくまでスポーツ紙の報道だが、2軍の伸び盛りの選手の成長があったとされる。球児の目的のひとつがかなった、というところか。
さて、ここからはオフ。球団、チームとしての力点は「戦力整備」に移る。特に今年は大きなポイントが存在する。4番大山の去就。これによって、チームの形が大きく変わってくる。
仮に大山がFA移籍を選択した場合。まず4番問題が生じる。ただ、これは解決できるはず。現に大山自身、今年2軍で調整した期間があり、この間は何とか4番をやりくりした。そこに当てはめたのが佐藤輝で、大山不在の場合は彼を4番に…となるはず。
そこに森下の成長がある。侍ジャパンで4番を張り続けている。まだプロ2年目がジャパンの看板を背負い、ふさわしい結果を残している。森下も4番候補になるのは間違いない。さらに新外国人バッターもそこに入ってくるだろうし、4番問題は解決すると思う。
問題は守りとなる。一塁大山の存在は、実に大きい。堅実で弱みを見せなかった大山のディフェンス力。ここを失えば、補うことはそう簡単にはいかない。
秋季キャンプ中、井上が一塁ミットで守る姿があったようだ。これも大山流出を想定したプランのひとつのはず。このようにあらゆる準備をしていくしかないのだ。
守備に不安が付きまとう佐藤輝を一塁にコンバートすれば? といった声もあるが、球児の佐藤輝に対しての期待感は半端でなく、このまま三塁で、となるはず。では一塁はとなるが、井上とか新外国人が構える中、意外な選手の動向が気になる。
それが原口である。すでに大山同様、FA宣言して他球団の評価を聞いてみたいと明かしている。FAの理由は「もっと試合に出れるように。先発で試合に出たい」とのこと。ということは、阪神に残留すれば先発出場の機会が増えるかも…の事態になることも。大山が移籍を決断したら、そこから原口にゲーム出場のチャンスが生まれる。そういった事情が絡みあったFA戦線になる。
まずは大山が他球団と交渉し、さらに阪神との残留交渉でどういう結論を出すか。それを見ながら、阪神としては原口との交渉を続けるという手法になるはず。
一塁のポジションを巡る今後の交渉。もちろん阪神としては大山が残ってくれるのがベストなのだが、そこはあらゆることを想定しての準備を進めるしかない。【内匠宏幸】(敬称略)