近年続く「投高打低」を象徴するように、今季も投手の好記録が目立った。9イニングあたりの与四球数を示す与四球率では、DeNA東、日本ハム加藤貴、阪神村上の3人が「1・00未満」のハイレベルな数字をマーク。与四球率1・00未満の投手が3人も出るのは、62年、11年の各2人を上回る最多人数だった。
加藤貴は自身が昨季更新したプロ野球記録の0・67には及ばなかったが、2年連続で0個台。1・00未満を2度も記録したのは今回の加藤貴が初めてだ。対象を「規定投球回」から「100イニング」に広げても、複数回記録したのは62、66年土橋(東映)79、85年高橋直(日本ハム、西武)17、20年秋山(阪神)の3人だけで、2年連続は1度もなし。加藤貴が昨季に続いて与四球率で史上初の記録をつくった。
今季、その加藤貴をしのいで両リーグ1位に立ったのが東。0・78は歴代3位で、82年江川(巨人)を上回るセ・リーグ記録を更新した。そんな東の快挙に割を食った格好となったのが村上。1・00未満でリーグ1位を逃したのは、11年武田勝(日本ハム)に次いで2人目。しかも武田勝を上回る0・94という高い数字で1位を逃すことになり、こちらは史上初の「不運」となった。
与四球が少ない投手だけでなく、多い投手からも史上初の記録が生まれた。今季両リーグ最多与四球は西武今井とソフトバンク石川で61個。今井は2年ぶり、石川は2年連続となったが、石川はこの2年とも規定投球回未満。2年以上続けて両リーグ最多与四球は19、20年千賀(ソフトバンク)以来10人目だが、石川のように2年続けて規定未満での両リーグワーストは史上初めてだった。今季は88人目となる無安打無得点を達成した石川。与四球ではさらに達成者の少ない珍記録をつくってしまった。【多田周平】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「記録室から」)