今年の高校生は遊撃手に逸材が多いと言われる。
18日から21日まで群馬県前橋市の関東大会で、25、26日は兵庫県明石市の近畿大会で注目のショートストップを見てきた。
まずは関東大会。
一番の注目は花咲徳栄(埼玉)の石塚裕惺。すでにドラフト上位候補の呼び声が高い。しかし右脇腹を痛め今大会は大事を取って欠場した。スイングで痛めたものではなく本塁で捕手と接触した際に痛めたものだという。夏の大会の出場は問題ないということでまずは一安心。彼のプレーは昨秋の関東大会、今春の埼玉大会で見たが本塁打を打てる長打力、堅実な守備、そして足も速い。181センチ、82キロ、右打ちの大型遊撃手で日本代表候補合宿にも参加している。
目玉選手の欠場は残念だったが、人材は豊富だった。帝京(東京)の西崎桔平(180センチ、右打ち)は2番を打つ強打者で今大会本塁打を放った。同じく2番の健大高崎(群馬)の田中陽翔(183センチ、83キロ、左打ち)も豪快な一発を右翼席へ放り込んだ。専大松戸(千葉)の中山凱(182センチ、80キロ、右打ち)は木製バットを使用。無安打には終わったがいい打球を飛ばしてみせた。
投手も兼ねる中央学院(千葉)の颯佐心汰(173センチ、73キロ、右打ち)は背番号1を付けて出場。高校時代の今宮健太(明豊→ソフトバンク)に雰囲気が似ている。東海大相模(神奈川)の才田和空(174センチ、74キロ、右打ち)は守備範囲が広く再三の好守でスタンドを沸かせた。
近畿大会では噂の選手を見ることができた。
大院大高(大阪)の今坂幸暉(178センチ、82キロ、左打ち)だ。大阪大会で履正社、大阪桐蔭を破って一躍注目度が高まった。シートノックを見たが華麗というよりは堅実、丁寧にゴロをさばいていた姿が印象に残った。須磨翔風との試合は3打数無安打1四球で初戦敗退。それでも9回、一塁手の失策で一気に二塁に向かった走塁には躍動感があった。試合後の囲み取材をのぞいてみると主将らしくしっかりとした受け答え。ツーブロックの髪形が今風の高校球児らしかった。
滋賀学園の岩井天史(184センチ、75キロ、左打ち)は送球の強さが印象的。バットでは1安打を放ったがまだ線が細く今後、体ができてくればDeNA京田陽太のような大型遊撃手になれるはず。進学が有力とのことだがまずは甲子園に出て全国のファンにアピールして欲しい。
最後に、2年生でインパクトのあった遊撃手を紹介したい。
東海大菅生(東京)の前田蓮(177センチ、68キロ、右打ち)と智弁和歌山の山田希翔(183センチ、71キロ、右投げ)の2人。
前田はフィールディングが素晴らしかった。シートノックから目を奪われたがまさにゴロがグラブに吸い込まれるという表現がピタリ。さらに驚かされたプレーもあった。昌平(埼玉)戦の9回。1死満塁から三遊間へゴロ。本塁と一塁は間に合いそうもない。二塁でフォースアウトを狙うのかと思ったらなんとバックトスで三塁へ。二塁走者をアウトにした。けして短い距離ではなかったが、素早く正確なバックトスで2つ目のアウトを奪い、1点差逃げ切り勝ちに貢献。価値あるプレーだった。
山田は打順こそ9番だが183センチの大型選手。バットではシングルヒットを3本。守っては難しいゴロも簡単にさばくハンドリングの良さに目を奪われた。巨人坂本勇人のような華のある選手に育っていってほしい。