先日、都内を車で移動中激しい尿意をもよおしたため、近くの有料パーキングに”緊急停車”。スマホで最寄りの公衆便所を検索し、小走りで向かった。
その公衆便所は小さな公園内にあったのだが、用を足してほっとひと息つきつつ周囲を見渡すと、そこはいわゆるラブホテル街。早めに車に戻ろうと歩き出すと、あるラブホテルの入り口付近に「Wi-Fi使えます」の掲示看板があり、その下に「テレワークにご利用ください」とかなり目立つ大きさの文字で書かれていた。
もともと現場記者時代から社内で執筆作業をするのが苦手だったこともあり「社外で最も落ち着いて、かつ集中して原稿を書ける場所」を各地で求め続けてウン十年。
コロナ禍以降は自宅と社内以外でまったくパソコンを広げていないが、昨春までの段階では<1>喫茶店「ルノアール」(一部に電源席があり全体的に落ち着いている)、<2>ネットカフェのリクライニング個室ブース席(仮眠をとりつつ静寂な環境で執筆できる)、<3>カラオケボックス(個室であることに加え電話取材も可能)、<4>日帰り温泉の食堂(座席数が多い施設が多く入浴でリラックスした後に作業がはかどる。混雑時をのぞく)の4パターンを頻繁に利用していた。
ただ「ラブホテルでの原稿書き」という発想はこれまでまったくなかった。調べてみると、ここ以外にも「テレワーク利用」を公式サイトなどで呼び掛けているラブホテルは複数あり、都内でも日中12時間程度部屋を使って料金4000円代の施設も。電話やウェブ会議などを気にせずできる上、疲れたら広いベッドで休むこともでき、浴室もあるというわけだ。
筆者もこの日、何人かに電話しつつ作成する必要がある文書執筆の締め切りが迫っていたため、数十秒このラブホテル前で立ち止まり「ここはひとつ、テレワークで初利用してみるか…」と迷った。
結局逡巡(しゅんじゅん)した末、「入るのはいいが、テレワークを終えて1人でラブホテルを出る姿を万が一、近くを通りかかった知人から目撃され、その知人が”何やってるんですか、こんなところで”と笑いながら突っ込んでくれればよいが、妙に気を利かせすぎて気づかないフリをされてしまった上、後日”Hさんがラブホテルから1人でコソコソ出てきたのを見ちゃったんですよ~”などと各所で言いふらされたらけっこうめんどくさいな」などと考えてしまい、今回は断念した。
【文化社会部・Hデスク】