心清らかで可憐(かれん)なシンデレラが大好きなみなさん、ごめんなさい。今作は、嫉妬深い継母や義姉にいじめ倒され、復讐(ふくしゅう)の鬼と化す“ダーク・シンデレラ”が主人公だ。
「白雪姫」「シンデレラ」などで知られるグリム童話は、19世紀にグリム兄弟がドイツの民話・伝説を集めて書いた物語だが、原作では血が飛び交うくだりが随所に出てくる。実は残酷で怖い。
“ダーク・シンデレラ”は、魔法使いの「フェアリーゴッドマザー」に舞踏会に出る願いをかなえてもらうが、王子と継母らが“共謀”し、大勢の前でシンデレラのドレスをはぎとり、嘲笑する。「復讐したい」と願った瞬間、恐ろしい力が与えられる。
追い詰めていた者たちが追い詰められる逆転ストーリー。内なる声に突き動かされ、暴れ回る。凶器はガラスの靴だ。血しぶきが飛び散る。異色ホラー「くまのプーさん」を主人公にして衝撃を呼んだ製作陣が再集結。アニメ映画でしか「シンデレラ」を知らない人は相当ショックを受けるかも。誇張しすぎている部分は多いが、純真さゆえの残酷さがある。【松浦隆司】
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