ローマの古代闘技場「コロシアム」で繰り広げられる激しい肉弾戦。強靱(きょうじん)な肉体でのぶつかり合い、華麗な剣術を披露する。愛する者のため、自由のために命をかけて闘う男たちに、体中の血が沸き立った。

古代ローマを舞台に皇帝の後継者争いに巻き込まれ、奴隷の身分に追いやられた元将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)の復讐(ふくしゅう)劇を描き、00年アカデミー賞で作品賞などに輝いた「グラディエーター」の24年ぶりの続編。巨匠リドリー・スコット監督が再びメガホンを取った。

前作から十数年後。新たな暴君の圧政により、マキシマスの息子ルシアス(ポール・メスカル)は妻を殺され、すべてを失い、奴隷として売られ、グラディエーター(剣闘士)となる。ポールの鍛え抜かれた肉体はもちろん、内面からにじみ出る怒りに気圧された。

とんとん拍子で事が運び、少し深みに欠ける部分はあるが、前作以上のリドリー・スコット作品ならではのスペクタクル映像は臨場感たっぷり。ローマ軍の進撃シーンは合戦の真っただ中に放り込まれた錯覚を覚えた。大スクリーンで味わってほしい超大作だ。【松浦隆司】

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