公開中の監督作品「追想ジャーニー リエナクト」。主演の松田くんともう1度仕事をしたいとクラウドファンディングを企画し、600%近くの支援が集まった本作。無事先月公開され、ミニシアターランキングでは3位に入り、約70%の人が2回以上観てくれていた(個人X調べ)。中には14回の方も…(感謝)。ふと始めた企画だったが、愛される作品に育ったのだと改めて実感する。
そこで今回紹介したいのは、主人公(雄二・松田凌)の劇団に所属する中村役の福松凜。雄二と先輩の峯井(樋口幸平)の依存しあう関係をどこか冷静な目で見つつ、また言いたいことはきちんと言える好青年を演じる。これまた個人X調べでは、登場人物の中で一番共感できるキャラクターにも選ばれていたことから、人気キャラクターの1人と言えるだろう。
キャスティングのきっかけとなったのは昨年放送していた人気ドラマ「下剋上球児」。ここでは、2017年度の主将・富嶋を演じていた。チームのために献身的に動くその姿を見て、本作の中村とどこか被ってオファーをする経緯となった。部員の中では地味な役割ではあったが、その秘めたスター性にも注目。映画では、そういった面も十分に堪能していただける作りになっている。いろいろな顔を持つ彼の演技を堪能できるはずなので、まだの方はぜひ観て欲しい。
話は変わるが、何年か一度、学園モノでヒットするドラマがある。最近だと、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」や「最高の教師」。いずれも当時のキャストを見返すと、ここから今を時めくスターたちが出演していたことがわかる。そして「下剋上球児」。こちらもすでにドラマや映画に出演しはじめている。若く才能ある者たちが集まり、菅田将暉や松岡茉優、鈴木亮平といった実力派俳優のもと、切磋琢磨(せっさたくま)することで相乗効果が生まれているのだと勝手に想像する。
改めて福松凜、「下剋上球児」の中から頭ひとつ抜け出して頑張ってほしい存在であり、そのポテンシャルは十分に備えている。これからの活躍に大いに期待する。
◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。最近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」、10月18日には映画「追想ジャーニー リエナクト」が公開。