女優栗山千明(31)が「第19回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の助演女優賞に輝いた。15年4月期のTBS系「アルジャーノンに花束を」で、上司へ好意、山下智久が演じた主人公への慈愛や、その後天才に変化した主人公への真剣愛など、さまざまな愛を表現する難役をこなした。また、同ドラマは作品賞も受賞し、主演男優賞とあわせて3冠となった。
トロフィーを手にした栗山は「純粋にうれしいです。苦しんで演じたので報われました」と苦労をうかがわせながら喜んだ。
演じたのは脳生理科学研究センターの研究員望月遥香。正義感が強く、感情的になり、突発的な行動もある役。栗山は「役の心情を理解するのに苦しみました。私は感情論でものを考えず、理屈で心情を考えるタイプ。理屈ではなく感情で行動する役は初めて。どう自分の中にふに落として演じるか難しくて」と振り返った。
さらに難役だったのは複数の愛の表現だ。最初は上司に好意を寄せ、山下智久が演じた知的障害者の主人公の白鳥咲人には、母に似た愛を注ぎ、その後、新薬で天才となった咲人との真剣な愛に発展する。
栗山は「恋愛作品もそれほど経験がなかったので、もんもんと迷い、ずっと苦しみながら演じていました。恋愛対象を見るシーンでは目ではなく耳を見るなど微妙な表現を工夫したり。今までは意思が強かったり、クールな役が多く、自然とそう演じる癖がありました。それが取り払われた気がします。演技の仕方が大きく変わったと思います」と成長を口にした。
栗山が本来持つ、人としての優しさ、柔らかさが根底にあって成立した役かもしれない。栗山は「そう書いていただいていいですか」とニッコリ。また、プライベートでの恋愛の姿勢には「友達みたいな感じが好き。おいしい物を食べに行こうみたいなラフな感じですかね」と明かした。
現在、テレビ朝日系「不機嫌な果実」に主演し、禁断の恋におぼれる妻を演じている。「『アルジャーノンに花束を』のおかげでこの役が来たと思います」。芝居の幅が広がった栗山が今後どんな恋を表現するのか楽しみだ。【中野由喜】
◆栗山千明(くりやま・ちあき)1984年(昭59)10月10日生まれ。出生地非公表。5歳からモデルとして活動。99年映画「死国」で女優デビュー。映画は03年「キル・ビルVol.1」、04年「下弦の月~ラスト・クォーター」で初主演。ドラマは11年の日本テレビ系「秘密諜報員エリカ」で初主演。10年に「流星のナミダ」で歌手デビュー。血液型A。
◆「アルジャーノンに花束を」 15年4月期に放送された山下智久主演のTBS系ドラマ。知的障害者の主人公白鳥咲人(山下)が、ヒロイン望月遥香(栗山)ら脳生理科学研究センターの研究により、高い知能を手に入れるが、当初の純真な心を失う。その後、愛する遥香の悲しみを知った咲人が優しさを取り戻すなど、2人の姿と周囲の友情を織り交ぜ、人の愛と純粋な心の美しさを描く。