<第16回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第16回日刊スポーツドラマグランプリ」主演男優賞は嵐の大野智(32)が受賞した。対象作はフジテレビ月9初出演、初主演作「鍵のかかった部屋」。膨大な量の難解なセリフを完璧に覚えるため4カ月間、外食を封印。時にはコンビニ弁当で食事を済ませ、時間を惜しんで覚えた。同様にセリフと格闘する嵐メンバーの姿も心の支えになったという。

 大野演じる主人公は、表情一つ変えず、密室で起きた難事件を解き明かしていく。セリフは専門用語が多く難解かつ量は膨大。台本を受け取るとまず、セリフ量をチェックした。「イントネーションを間違って覚えると修正が大変。動きがないから丸暗記しか覚える方法がなくて、流れで覚えていたから。本当に究極の役だったね」。

 それならばと、究極のスタイルで挑んだ。収録前後の約4カ月間、1度も外食しなかった。たまに仕事が早く終わると自宅に直帰。「外食するならセリフを覚えたい。コンビニの飯を食って風呂に入って、寝る状態にしてから、ひたすら覚える感じだったかな」。

 嵐メンバーの姿にも励まされた。同じ放送時期で、相葉雅紀(30)が日本テレビ系「三毛猫ホームズの推理」に主演していた。「表情を見たら、ああ今、キツイだろうなって分かった。楽屋で相葉ちゃんが台本を開いていると、あ、オレもやらなきゃなって感じで非常に刺激になってた。ニノ(二宮和也)も(主演映画)『プラチナデータ』を撮っていて、みんな結構、台本を開いていて。一緒にやっている感があった」。

 思い出もできた。第6話にジャニーズの先輩、V6坂本昌行(41)がゲスト出演。ジャニーズJr時代にV6の年長ユニット、20th

 Century(トニセン)の公演で何度もバックダンサーを務めた。「本当にお世話になったけど、ガッツリ面と向かって芝居するのは初めて。新鮮で貴重でした。V6の舞台に出させてもらった時は僕はセリフ1行ぐらい。ちょっと絡むぐらいだったから」。

 挑戦したいジャンルを聞いた。「コメディーかな。今回の役に比べたら、難しいけど楽だからね」と冗談交じりに笑った。究極の役を演じきった今、どんな役でも受ける覚悟はある。【近藤由美子】

 ◆大野智(おおの・さとし)1980年(昭55)11月26日、東京都生まれ。99年に嵐のメンバーとしてシングル「A・RA・SHI」でCDデビュー。連続ドラマ主演は日本テレビ系「怪物くん」、TBS系「魔王」など。日刊スポーツドラマグランプリ主演男優賞は08年TBS系「魔王」以来2度目の受賞。166センチ。血液型A。

 ◆「鍵のかかった部屋」

 作家貴志祐介氏の同名小説などが原作。警備会社勤務の防犯オタク榎本径(大野)が密室で起きた殺人事件の謎を解いていく1話完結の本格ミステリー。謎解きとともに、真面目で純粋な新人女性弁護士(戸田恵梨香)やその上司のベテラン弁護士(佐藤浩市)との絶妙なやりとりも話題に。

 ◆ドラマグランプリ

 3月22日から29日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム」、スマートフォンサイト「ニッカンエンタメ・プレミアム」、携帯サイト「ニッカン芸能!」と宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」で、昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に「主演女優賞」「主演男優賞」「助演女優賞」「助演男優賞」「作品賞」を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は2624票。男性が685票、女性が1939票、10代以下が45票、20代109票、30代358票、40代1026票、50代823票、60代以上が263票だった。