土曜のコックスプレート(オーストラリア)が終わると、来週(11月1日、2日)は米国のブリーダーズカップ(以下BC)がカリフォルニア州のデルマー競馬場で開催されます。日本調教馬は11競走に過去最多の19頭が参戦を予定。BCクラシック(G1、ダート2000メートル)、BCターフ(G1、芝2400メートル)、BCマイル(G1、芝1600メートル)、BCフィリー&メアターフ(G1、芝2200メートル)の4競走は日本でも馬券発売が実施されます。今週は馬券発売される4競走の概要をお知らせしたいと思います。
【BCフィリー&メアターフ】
人気は欧州馬に集まっています。前売りの1番人気はG1・2勝馬のエミリーアップジョン(牝5、父シーザスターズ)。前走のG1ヴェルメイユ賞は後に凱旋門賞馬となるブルーストッキングの3着に善戦。しばらく勝ち星から見放されていますが、その実力は侮れません。アイルランドのエイダン・オブライエン勢はG1ヨークシャーオークス優勝のコンテント(牝3、父ガリレオ)、G1英チャンピオンズフィリーズ&メアズSでカルパナの2着に食い下がったウイングスパン(牝3、父ドバウィ)、2歳時にG1フィリーズマイルを制したイランイラン(牝3、父フランケル)の3頭を送ります。これに加えてゴドルフィンからはG1ベルモントオークスとG3サラトガオークスを連勝中のゴドルフィンのシンデレラズドリーム(牝3、父シャマーダル)も参戦。欧州馬の壁はかなり厚そうです。
地元からは一昨年のBCターフの3着馬で、前走G1ジョーハーシュターフクラシックで牡馬相手に2着したウォーライクゴッデス(牝7、父イングリッシュチャンネル)、それにカナダを拠点に昨年のBCフィリー&メアターフで3着し、今年はG2ビヴァリーDステークスを制したモイラ(牝5、父ゴーストザッパー)が立ち向かいます。
なお、このレースを第一希望にしたアリスヴェリテ(牝4、中竹、父キズナ)は選から漏れて補欠2位。出走がかなわなかった時はダートのディスタフに出走するものと見られています。
【BCマイル】
日本からはヴィクトリアマイル優勝のテンハッピーローズ(牝6、高柳大、父エピファネイア)と一昨年の皐月賞馬ジオグリフ(牡5、木村、父ドレフォン)の2頭が参戦します。
ここも人気は欧州馬に集まっています。その筆頭は今シーズン、コロネーションS、ファルマスS、メイトロンSとG1を3連勝しているポルタフォルトゥナ(牝3、父カラヴァッジオ)、これに続くノータブルスピーチ(牝3、父ドバウィ)は英2000ギニーとサセックスSの勝ち馬。馬主のゴドルフィンは、このレースの4連覇に王手をかけています。10月のG1フォレ賞を快勝したラマチュエル(牝3、父ジャスティファイ)を加えた欧州トリオは強力です。地元勢は前哨戦のG1クールモアターフマイルSを制したカールスパックラー(牝4、父ロペデヴェガ)、G1ファーストレディS優勝から臨むジーナロマンティカ(牝5、父イントゥミスチーフ)が優勝候補に挙げられています。
【BCターフ】
ここには2頭の日本馬が挑戦します。昨年の3着馬シャフリヤール(牡6、藤原英、父ディープインパクト)は今年3月のG1ドバイシーマCでレベルスロマンスの2着で、札幌記念5着からの再挑戦。もう一頭のローシャムパーク(牡5、田中博、父ハービンジャー)は毎日王冠(10着)をひとたたきされての世界挑戦。左回りは5戦2勝2着2回と得意にしています。
人気はここも欧州馬に偏っています。その1番手は一昨年の勝ち馬で、今年はドバイシーマC、香港のG1チャンピオンズ&チャターC、前走のG1オイロパ賞を制するレベルスロマンス(セン6、父ドバウィ)。これに10月の仏G2ドラール賞を制して臨むジェイアービー(牡3、父ゾファニー)、フランスのショードネイ賞でG1初制覇を飾ったイリノイ(牡3、父ガリレオ)、春のコロネーションC勝ち馬のルクセンブルク(牡5、父キャメロット)が続いています。地元の大将格はG1ソードダンサーSとジョーハーシュターフクラシックを連勝中のファーブリッジ(牡4、父イングリッシュチャンネル)となっています。
【BCクラシック】
日本馬にとって最も楽しみなレースが“クラシック”でしょう。G1ケンタッキーダービーで僅差3着したフォーエバーヤング(牡3、矢作、父リアルスティール)は壮行レースのジャパンダートクラシックで結果を出して再渡米。その決め手は現地でも高く評価されています。サウジカップで2着、ドバイワールドカップも2着と国際舞台で存在感を示したウシュバテソーロ(牡7、高木、父オルフェーヴル)も上位食い込みをめざしての挑戦。昨年2着の実績のあるデルマソトガケ(牡4、音無、父、マインドユアビスケッツ)は今年もルメール騎手で参戦します。
断然の人気が予想されるのは英ダービー、エクリプスS、英インターナショナルSを3連勝したシティオブトロイ(牡3、父ジャスティファイ)です。渡米前には英国のサウスウェル競馬場のAWトラックを使って実戦並みの調教をこなすなど準備は万全。93年のアルカング、08年のレイヴンズパスに続く欧州馬3頭目の快挙を手土産に種牡馬入りの青写真が描かれています。
迎え撃つ米国勢はG1トラヴァーズS勝ち馬のフィアースネス(牡3、父シティオブライト)、ケンタッキーダービー2着のシエラレオーネ(牡3、父ガンランナー)がツートップ。古馬ではG1ジョッキークラブゴールドCに勝ったゴドルフィンのハイランドフォールズ(牡4、父カーリン)が一発を狙っています。
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績等は2024年10月25日現在