【ソフトバンク】31年目王会長にとっても「節目」の1年 普遍の情熱はまだまだチームを熱くする
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム:CATCH!!>
氷雨というにはあまりにも大粒の雨が室内練習場の屋根をたたきつけている。ソフトバンクの宮崎キャンプ初日。見学に訪れたファンの列は練習開始前には約200メートルほどもあっただろうか。
「雨? しょうがないね。今はね、天気予報が当たらないほうが少ないからね」。前日から天候に気をもんでいたのだろうか。王球団会長はそう言って室内練習場に入って行った。
今季は愛弟子である2人が現場&フロントのトップとしてタッグを組んで覇権を狙う。小久保監督、そして城島チーフベースボールオフィサー(CBO)だ。さらに昨年限りで現役引退した和田氏も球団統括本部付アドバイザーとなった。「あの3人はホークスが一番苦んでいるころを知っているし、よくなっていくころも知っている。よくなったなりの理由も本人たちが一番よく知っているから。それをチームに伝えていけるからね。今日は見守らせてもらうよ」。自らが育て、王ホークスを支えてきた投打の主軸たちに未来を託すような口ぶりだった。
昨年は小久保新監督で4年ぶりにリーグ制覇。だが、日本シリーズで涙をのんだ。シリーズ進出して日本一に届かなかったのはソフトバンクとなって初。誰よりも悔しかったのは王会長かもしれない。公的の場ではいつも「最後に勝てなかった」と言ってきた。
王会長にとっても「節目」の1年となる。現役、監督など巨人の王として30年、ホークスの王としては95年の監督就任以来、今季で31年目。在籍年数はホークスが上回った。オーストラリア・ゴールドコーストでの王ダイエー初キャンプ。王監督は故ケネディ元米大統領の言葉を引用。「チームが何をしてくれるかではなく、自分がチームに何ができるかだ」と熱っぽく語りかけた。「あ、そうだったね。自分が何ができるか、ね。人間生きていくうちはずっと続くもの。受け身では絶対無理。自分からやっていかないと」。今年5月で85歳。王会長の普遍の情熱はまだまだチームを熱くする。