【DeNA蝦名達夫】「守っていて地獄でした」乗り越えた先に見た地平/連載〈57〉

怖かった声援が、いまや力をくれた―。DeNA5年目の蝦名達夫外野手(26)が、存在感を示しています。開幕1軍は逃したものの、今季初出場となった4月29日の中日戦(バンテリンドーム)で途中出場から2安打をマークすると、同3連戦で11打数8安打、打率7割2分7厘と固め打ち。昨年7月17日広島戦(横浜)の右翼守備で打球へのチャージが遅れ、翌日に出場選手登録を抹消された負の記憶から脱却しつつある26歳が、充実の胸中を明かしました。

プロ野球

◆蝦名達夫(えびな・たつお)1997年(平9)9月20日生まれ、青森市出身。野内小2年から野内ヤンキースで野球を始め、青森東中では軟式野球部。青森商、青森大を経て19年ドラフト6位でDeNAに入団。ルーキーイヤーの20年9月10日阪神戦で代打でプロ初安打初本塁打をマーク。185センチ、88キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、姉。血液型B。今季推定年俸1750万円。

「これはいけるぞ」

―バンテリンドームでの固め打ちから、スタメンに定着しつつある

一番大きかったのは、点差が開いた中日との3連戦初戦に途中から出て、ああいう場面ですぐに2安打を打てた。あそこで勢いがついたと思います。

―2軍でやってきたことが出せた

そうですね。しかも、1軍に上がって(4月26日からの)巨人3連戦は試合に出てなくて、結構不安でした。打席に立たないと、感覚が分からなくなるので。(24日の2軍戦は雨天中止、25日は休養日で)5日も試合から離れていたので、なおさらモチベーションがあった。その中で2本打って「これはいけるぞ」って。そんな感じでした。

「出塁率は一番求めている」

―11打数8安打の固め打ちだった

もう勢いです。固め打ちするタイプかもしれないです。逆にダメな時はダメで、みたいなタイプかもしれない。

―ただ、最近はコンスタントに活躍。選球眼も良く出塁率もある

前までは練習でダメだったら「もうダメだ」みたいに考えてしまっていました。練習で考えすぎてしまう。試合に入っても「今日の練習でこうだったから、なんかダメだな」みたいな。

技術のことを先に考えてしまって、ピッチャーと戦えていない。今はもう、練習で良くても、試合で打てない時もあるなと分かりました。だから考えすぎずにピッチャーの配球だとか、対ピッチャーの考え方に切り替わったと思います。

―コンパクトなスイングが増えて、出塁率が上がっている

出塁率は一番求めているので、それが形として出ているのかなと。去年くらいから長打というより、とにかく塁に出て、走る。失敗もあるかもしれないですけど、まず塁に出ること。

長打を狙って長打ではなくて、出塁率を求めながらも長打が出ているので、僕の中では最高です。

―5月11日の同点2ランも大振りではなかった

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1998年3月生まれ。東京都あきる野市出身。都立富士森では硬式野球部に所属。中大商学部を経て、2020年4月入社。同年10月から野球部配属で同12月から巨人担当、24年1月からDeNA担当を務める。 趣味は海外サッカーなどのスポーツ観戦、映画鑑賞、サウナ。下手くそだけどマイブームはゴルフ。好きな食べ物は地元の八王子ラーメン。