【朝乃山を追う:23年秋場所〈上〉】負けた年下ライバルへの敬意「一筋はすごい」

大相撲で大関経験者の朝乃山(29=高砂)が、8場所連続の勝ち越しを飾った。西前頭2枚目で臨み、9勝6敗。7月の名古屋場所を途中休場した、左上腕二頭筋部分断裂は完治せず、全15日間、左腕には大きなサポーターを巻いて出場した。さらに初日まで2週間、番付発表前日の8月27日に地元・富山県の氷見市で行われた、夏巡業最終日には右足親指を負傷。場所前は本格的な稽古をほとんどできないまま臨んでいた。

21年5月に新型コロナウイルス感染対策ガイドラインの違反。6場所の出場停止処分を経て、三段目から再出発した朝乃山のドキュメント。今回は秋場所を振り返る。上編は初日から6日目まで。

大相撲

<秋場所西前頭2枚目:9勝6敗>上編 初日~6日目

夏巡業で負ったケガ 苦しんだ前半戦

若元春を寄り切りで破る

若元春を寄り切りで破る

初日 1勝
〇 関脇 若元春戦

けがが少なかった朝乃山にとって、思うように稽古を積めず、初日に臨んだ経験はほとんどなかった。7月の名古屋場所は初日に、明生に敗れている。2場所連続で初日黒星となれば、2016年春場所の初土俵以来、1度もない。しかも相手はけんか四つで相撲巧者の若元春。左四つになれば、絶対的な強さがある。差し勝って朝乃山が得意の右四つになったとしても、先場所痛めて完治していない左腕で、上手を引きつけられるのか-。迷い、不安を抱えながら、初日の土俵に立っていた。

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1999年入社。現在のスポーツ部ではサッカー(1)→バトル→五輪→相撲(1)→(5年半ほど他部署)→サッカー(2)→相撲(2)→ゴルフと担当。他に写真部、東北総局、広告事業部にも在籍。
よく担当や部署が替わるので、社内でも配った名刺の数はかなり多い部類。
数年前までは食べる量も社内でも上位で、わんこそばだと最高223杯。相撲担当になりたてのころ、厳しくも優しい境川親方(元小結両国)に「遠慮なく、ちゃんこ食っていけ」と言われ、本当に遠慮なく食べ続けていたら、散歩から戻った同親方に「いつまで食ってんだ、バカヤロー!」と怒られたのが懐かしいです。