【イチロー大相撲〈46〉】羽出山、玉ノ井部屋に入門した意外な理由 関取はもう間近

「羽出山」と書いて、「はつやま」と読みます。

11月5日に25歳になったばかりの玉ノ井部屋のホープです。

2024年秋場所は幕下優勝を果たし、九州場所は自己最高位となる西幕下筆頭まで番付を上げました。十両昇進を間近に控え、じっくり話を聞きました。

玉ノ井部屋に入門したのは、ちょっと意外な理由からでした。

大相撲

羽出山将(はつやま・しょう)本名同じ。1999年(平成11年)11月5日、東京・東村山市生まれ。小6から立川錬成館で相撲を始めた。東京・足立新田高では、1~3年まで高校総体出場(高2で3位)。東洋大に進み、2、3年でともに全日本選手権8強(三段目付け出し資格獲得)。4年で全国学生選手権16強。玉ノ井部屋に入門し、2022年春場所初土俵。

秋場所で幕下優勝を果たした羽出山(2024年9月22日撮影)

秋場所で幕下優勝を果たした羽出山(2024年9月22日撮影)

連続Vで狙う関取の座

―幕下優勝おめでとうございます。反響はどうでしたか

周りの人が喜んでくれて、優勝できてよかったなと思いました。

―LINEなどはたくさんくるものですか

きました。それこそ高校の全然相撲やってない友達とかからも「見たよ」って。地元の人とか大学の同級生とか、おめでとうラインがいっぱい来てました。

秋場所13日目、羽出山(左)は朝興貴を押し出し、幕下優勝を決めた(2024年9月20日撮影)

秋場所13日目、羽出山(左)は朝興貴を押し出し、幕下優勝を決めた(2024年9月20日撮影)

―今日の稽古でも、ひたすらテッポウを打っていました。1日何回とか、決めてやってるんですか

そうですね、一応、300は最低でも、毎日やるようにしています。親方(元大関栃東)は現役の時に、毎日1000回突いていたそうです。1000回まではいかないですけど、最低でも300。500とかは突くように心がけてます。

―今、稽古場で師匠から一番指摘されていることはなんですか

下半身ですね。背が高い分、どうしても腰高になってしまうことが多いので。(得意は)突き押しなんで、立ち合いは低くても、土俵際になると構腰が高くなって突き落としを食らうことが多かったので。もう徹底して四股、すり足、テッポウ、基本の基本をもうずっと口酸っぱく言われています。

―体重はもうちょっと増やしたいですか

155から160あったらもっと、突き押しの威力が上がるのかなと思うんで。

―今はどのくらい

今、144とかですかね。

羽出山の全成績


場所番付勝敗
2022年春三段目100枚目付出5-2
2022年夏西三段目65枚目6-1
2022年名東三段目10枚目4-1(1)
2022年秋東幕下60枚目4-3
2022年九西幕下51枚目5-2
2023年初東幕下33枚目6-1
2023年春西幕下11枚目2-5
2023年夏東幕下25枚目4-3
2023年名西幕下19枚目5-2
2023年秋西幕下9枚目3-4
2023年九西幕下13枚目5-2
2024年初西幕下4枚目1-6
2024年春西幕下25枚目2-5
2024年夏東幕下38枚目5-2
2024年名東幕下22枚目4-3
2024年秋東幕下16枚目7-0

―今までの経験で、幕下上位の難しさはどう感じてますか

初めて幕下上位にいったのが去年の3月場所、11枚目で2勝5敗でした。全然違うなと思ったんです。もうなんか(相手が)めっちゃ強くて。それまで5番、6番勝っていたのに、そこで急に2―5(2勝5敗)って…。立ち合いの圧力も違いますし、駆け引きも全然違いました。

―今年の初場所は幕下4枚目でした。この時は。

ヘルニアになっちゃって、腰が。稽古すらしてないみたいな、なんもできない状態でした。

―この時は、相手よりも、自分の問題だったんですね

そうなんですよね。もったいないなと思って。4枚目は勝ち越せば、場合によって(十両に)上がれる。そこでヘルニアがあって、ちょっとふがいなかったです。

幕下優勝を決めた羽出山(撮影・小沢裕)

幕下優勝を決めた羽出山(撮影・小沢裕)

―今は実力がついてきてるから、今までの上位の時とはちょっと違う感じですね

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。