【鍵山優真の言葉】「宇野昌磨さんの真似をしてみました」力出し切り、初の全日本制覇

ショートプログラム(SP)首位の鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)が、7度目の出場で悲願の初優勝を果たしました。

2010年の小塚崇彦以来史上2度目となる、1991年から3連覇した父正和コーチとの父子優勝を達成しました。

得点が発表された「キス・アンド・クライ」では、父も涙。取材エリアでは演技後に氷へ倒れ込んだ理由、父の涙に対する思いなどを明かしました。

「鍵山優真の言葉」として、お届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇大阪・東和薬品RACTABドーム◇男子フリー


順位選手名SPフリー合計
1鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)92.05205.68297.73
2中田璃士(TOKIOインカラミ)90.31173.68263.99
3壷井達也(シスメックス)73.94173.37247.31
4織田信成(大阪スケート倶楽部)84.53150.15234.68
5友野一希(第一住建グループ)89.72144.23233.95
6三宅星南(関空スケート)75.16158.33233.49
7佐藤駿(エームサービス/明治大)81.90148.90230.80
8三浦佳生(オリエンタルバイオ/明治大)88.87141.22230.09
9島田高志郎(木下グループ)73.20150.84224.04
10山本草太(中京大)80.10136.99217.09
11中村俊介(木下アカデミー)73.96140.29214.25
12西野太翔(神奈川FSC)77.58135.49213.07
13片伊勢武アミン(関大)75.62137.16212.78
14高橋星名(木下アカデミー)77.87131.92209.79
15杉山匠海(岡山大)72.93135.82208.75
16大島光翔(明治大)74.37132.62206.99
17垣内珀琉(ひょうご西宮FSC)70.52132.75203.27
18朝賀俊太朗(関大)67.58131.75199.33
19蛯原大弥(駒場学園高)64.66128.15192.81
20木科雄登(関大)68.84122.21191.05
21植村駿(ユニバースFSC)62.47123.50185.97
22吉岡希(法政大)63.76117.53181.29
23菊地竜生(明治大)62.77106.52169.29
24山田琉伸(早大)60.2086.29146.49
優勝しメダルを手に笑顔を見せる鍵山(中央)。左は2位中田、右は3位壷井(撮影・前田充)

優勝しメダルを手に笑顔を見せる鍵山(中央)。左は2位中田、右は3位壷井(撮影・前田充)

「ちょっとやってみたかった」

フリーを終えたテレビ取材

―率直に感想を教えてください

今日のフリーは総合評価としては、自分の出せる部分は全部出せたと思います。前半もすごく落ち着いてできて、後半も気持ちは冷静になれたんですけど、ちょっと足が疲れてしまう部分があって、トーループだったり、フリップも回りすぎてしまった。それでもミスとしては最小限に抑えられたと思うので、そこらへんはこれから修正していきたいです。

男子フリーの演技を終え、リンクに倒れ込む鍵山(撮影・前田充)

男子フリーの演技を終え、リンクに倒れ込む鍵山(撮影・前田充)

―終わった後のしぐさ、思いはいかがですか

1回(宇野)昌磨さんのを見て、最終滑走でいい演技をしたら、ちょっとやってみたかったんですよ。なので(中田)璃士くんに先やられちゃったんですけど、やってみたかったので、やってみました。

―やってみていかがでしたか

気持ち良かったです。

―キス・アンド・クライで正和コーチが涙されていました

そうですね。やっぱり久しぶりに父が感動して泣き出してくれたので、僕は自分自身が最後まで諦めずに滑り切れたのも、もちろんうれしいですけど、やっぱりコーチの方々が感動だったり、満足していただけるのが、僕にとってもすごくうれしいことでもあるので。一番そばで毎日見てくださっている存在なので、こうやっていい演技ができたのはすごくうれしいです。

男子フリーの演技を終え、笑顔を見せる鍵山(撮影・前田充)

男子フリーの演技を終え、笑顔を見せる鍵山(撮影・前田充)

―親子での全日本チャンピオンになりました

そうですね。うれしいですし、父が金メダルを取った個数を超えたいので、もっと頑張りたいです。

―世界選手権を目指してやっていく中で、今やっているところから、どのようにチャレンジしますか

そうですね。今日はフリップ―ループのところを、フリップ―アクセルに構成を落としたので、世界選手権だったり、年明けの試合ではフリップ―ループにあらためてチャレンジしたいですし、そういうところから攻めていかないと、世界選手権では本当に強いライバルの選手がたくさんいると思うので。今のままでは表彰台に上れるかすら、危ないラインなので、僕の中で日々120%を出し切れたというような練習を積み重ねて、頑張っていきたいと思います。

―4回転ルッツに関してはいかがですか

そうですね。ルッツももちろん練習だったり、曲にいれてやっていきたいですし、僕の中では理想の構成としてはまだ80%ぐらいなので、ルッツも含めた(4回転)5本構成で、それが最終的な構成なので、しっかりと体力もつけて、体も鍛えて、いい演技ができるように努力していきたいと思います。

男子フリーの演技後、父の正和コーチ(手前)と抱き合う鍵山優真(共同)

男子フリーの演技後、父の正和コーチ(手前)と抱き合う鍵山優真(共同)

―父の涙はどういう涙だったと思いますか

そうですね。あまり泣くような方ではなく、本当にいつも冷静で、あんまり感情を思い切り外に出すような方ではないので、こうやって感動して涙していただけたのは、すごく僕にとってもうれしかったです。ここで僕の今まで苦しんできた気持ちの部分だったり、ぶつかっていた壁も少し乗り越えられそうな感じがします。

―タイトルを取った意味はいかがですか

もちろん取った瞬間はうれしいですし。でもこれからはやっぱり全日本王者として紹介される部分も多くなってくると思うので、そういうところもしっかり背負っていかないといけない。やっぱりそれに恥じぬような演技、行動をしっかりしていきたいと思います。

―あらためて日本を引っ張っていく意識になりましたか

そうですね。これからはやっぱり、さっきも言いましたけど、全日本王者として注目される部分も増えてくると思います。僕のやりたいスケートだったり、理想っていうのは、もっともっと高いところにあるので、常にチャレンジして、もっともっと上を見て、努力をしていきたいと思います。

男子フリーに向け練習に臨む鍵山(撮影・前田充)

男子フリーに向け練習に臨む鍵山(撮影・前田充)

「すごく気持ち良くて」

ペン取材

―正和コーチは「世界を目指していく上で、これ(タイトル)がないと」と話していました

そうですね。今までどの試合においても、金メダルをなかなか取れない試合が続いていたので、この金メダルっていうのは、次につながるいいスタートになるんじゃないかなと思います。これがゴールではなくて、新たなスタートとしてやっていかなければならないので。年明けからいいスタートを切れるように、もっともっと。構成もすぐに変えるかどうかは分からないですが、世界選手権ではまたもっと果敢に挑戦していけるような構成ができるように頑張っていきたいと思います。

19日の練習で言葉を交わす鍵山(左)と父正和さん(撮影・前田充)

19日の練習で言葉を交わす鍵山(左)と父正和さん(撮影・前田充)

―正和コーチは「全日本が一番大切」と言い、それは鍵山選手に伝えていなかったと聞きました。その思いは伝わっていましたか

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スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市出身。小学生時代はレスリングで県大会連覇、ミニバスで全国大会出場も、中学以降は文化系のバンドマンに。
2021年入社。スポーツ部バトル担当で、新日本プロレスやRIZINなどを取材。
ツイッターは@kotakatsube。大好きな動物や温泉についても発信中。