150秒にかける青春〈17〉堂々の銀メダル!寄せ集めのチームが1つになった瞬間…東日本代表

日本勢が表彰台を独占したチアリーディング世界選手権大会(群馬・高崎アリーナ)シニア女子部門で準優勝したのは、選抜日本代表・東日本だった。大学、高校から選手が集う混成チーム。週末に合宿を繰り返し、課題だった連係面を克服した。優勝した帝京大学(大学代表)には及ばずも堂々の結果だった。(敬称略)

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課題だった連係面を克服。メンバーの心が1つになって準優勝したナショナルチーム東日本代表の演技は素晴らしかった

課題だった連係面を克服。メンバーの心が1つになって準優勝したナショナルチーム東日本代表の演技は素晴らしかった

「私たちに失うものはない」

演技を終えてから2時間ほどが過ぎていた。

会場の高崎アリーナから出てきた東日本代表コーチの上田比加里(ひかり)に声をかけた。

すっかり日が暮れ、近くの駅から新幹線が発車する音が響いていた。

ようやく緊張から解き放たれたような、ホッとした表情の後に笑顔になった。

本格的な冬の訪れを感じさせる冷たい風が、心地よかった。

「心を込めて、演技を最後までやり通そう。

今までお世話になってきた人たちに届けよう。

何よりも、自分たちが楽しもう。

最後はそう伝えていたんです。

何も怖くないですもん。

私たちには失うものはないんだから」

覚悟を決めて夢の舞台に挑んだ。

マットの上に立った16人だけではなかった。

支えてきたメンバー、指導にあたったコーチたち。そして家族や、それぞれの在籍先のみんな。

150秒間、たくさんの人々の思いを込めて披露した演技は最高の形になる。

短い時間で、どう変わっていったのか。

幾度となく落胆しても諦めずにはい上がる姿勢が成長へとつながり、絶望は最後に歓喜になった。

彼女たちの濃密な2カ月半を描く。

「さあ、行こう!」。本番前に仲間の肩を抱き、声をかける。みんなで過ごしてきた時間を振り返り、150秒の演技にかけた。勇気の出る1枚の写真

「さあ、行こう!」。本番前に仲間の肩を抱き、声をかける。みんなで過ごしてきた時間を振り返り、150秒の演技にかけた。勇気の出る1枚の写真

【選抜日本代表・東日本メンバー】

真藤空(帝京大3年)、久保里歩(目白大3年)、朝倉風菜(千葉明徳高3年)、池田一織(千葉明徳高2年)、石塚ゆりの(青山学院大4年)、梅木めぐみ(帝京大1年)、太田夏鈴(目白研心高3年)、梅澤聖奈(帝京大1年)、片本歌音(帝京大2年)、清水琴美(千葉明徳高3年)、高木優菜(千葉明徳高2年)、辰島有美(千葉明徳高2年)、永沼桃花(帝京大2年)、福山瑚乃(目白研心高3年)、松田はづき(目白研心高3年)、両角梨世(目白研心高3年)、横瀬日向子(千葉明徳高3年)、宮坂朱里(日本体育大3年)、山本明香里(帝京大3年)

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。