【高校サッカー】大谷高が許した悲運の決勝弾~雪辱かけた選手権で初の全国大会へ挑む

サッカーの全国高校総体(インターハイ)京都府予選で快進撃した大谷高が初の全国大会出場へ、再び立ち上がる。今年6月9日の東山との決勝戦。後半ロスタイムの悲運の失点がインフルエンサーによって拡散され1500万回再生を記録した。3年生にとっては最後の舞台となる選手権予選へ向かうチームに迫った。

サッカー

決勝東山戦で忍者ゴール
雑草軍団に芽生えた覚悟

彼らには勝たなければいけない理由がある。

青春の全てをかけて、立ち向かう覚悟がある。

消えることのない記憶。

あの日から芽生えた絆。

失うものは何もない。

中学時代は無名の選手たちが集まり、いつか強豪といわれるチームに勝ちたい。いつか俺たちも全国の舞台に立ちたい。

そうやって歩んできたのだ。

夢はあと少しで現実になりそうだった。

あと1歩。手を伸ばせば、届くところにあった。

忘れもしない。

屈辱のゴールが決まり、手が届くところにあったはずの全国が遠ざかっていったあの瞬間を-。

いよいよ始まる。

雪辱の舞台となる全国高校サッカー選手権の京都予選が。

あの失点があったからこそ、俺たちは強くなれた。

きっと、そう言える日が訪れる。

強豪校を次々と倒して全国の扉を開いた時、悲劇のチームは、ヒーローになっているだろう。

大谷高校サッカー部。

無名の雑草軍団が、歴史をつくるまでの姿を描く。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。