同志社ラグビーよ、這い上がれ! 名門はなぜ低迷したのか…大阪体育大との入れ替え戦を追う

かつての名門、同志社大学が苦難のシーズンを終えた。関西大学Aリーグ(1部)で1911年の創部以来、史上初の7戦全敗で最下位に低迷。大阪体育大学(2部1位)との入れ替え戦(12月9日)の末に残留を決めた。全国大学選手権優勝4度。関西の伝統校は復活できるのか-。知られざる真実を描く。(敬称略)

ラグビー

同志社大対大阪体育大 試合を前に円陣を組む両チーム(撮影・上山淳一)

同志社大対大阪体育大 試合を前に円陣を組む両チーム(撮影・上山淳一)

責任の取り方とは

~身を引くのではなく、全身全霊をかけて再建すること~

薄暗い通路に彼はいた。

奈良の山あいにある天理親里競技場。メインスタンドの下に出入り口、そこから両サイドにロッカールームへと続く廊下がある。

会見場から出てきた同志社大学ラグビー部監督の宮本啓希は、どこか視線をさまよわせるかのように辺りを見回していた。

つい十数分前に、今後の行方を左右する大事な試合を終えたばかりだった。

残留を果たした安堵(あんど)感なのか。

それとも、どん底まで落ちたチームへの行き場のない怒りなのか。

どちらとも言えぬような顔をして、体を揺らしながら立っていた。

7戦全敗だったリーグ戦。負けが重なる度に、扱いが大きくなる新聞記事。

そこに、監督のコメントがあった。

それを読んで、気になることがあった。

入れ替え戦は1980年代から90年代前半にかけて関西で鎬を削ったヘラクレス軍団が相手だった。当時を懐かしむオールドファンが大勢、客席から声援を送った

入れ替え戦は1980年代から90年代前半にかけて関西で鎬を削ったヘラクレス軍団が相手だった。当時を懐かしむオールドファンが大勢、客席から声援を送った

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。