【150秒の青春】NOMOの応援が原点~平等に選手を育てる堺MARINEの指導法

人間教育を重視しながら、強豪校で活躍する選手を育成しているチームが大阪にある。堺チアリーディングクラブMARINE。昨秋の世界選手権では、たくさんの卒業生が日本代表として活躍した。幼稚園児から中学生まで。未来に輝く選手はどう育つのか。(敬称略)

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堺MARINE連載〈2〉

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個性を伸ばす秘訣
平等+好きになる

NOMOベースボールクラブの応援にも駆けつけた(上段左から2番目が野茂英雄氏)。この頃はチーム名が「MARINE MORE」だった(クラブ提供)

NOMOベースボールクラブの応援にも駆けつけた(上段左から2番目が野茂英雄氏)。この頃はチーム名が「MARINE MORE」だった(クラブ提供)

その光景を舞台裏から見ていた。

堺MARINEが主催する関西最大級のチアリーディングイベント「Cheer Tag」(3月26日、フェニーチェ堺)。

招待された強豪校とともに、幼稚園児から中学生までのMARINEの選手たちが演技した。

キビキビと準備を進めていく。

舞台裏で待機する堺MARINEの選手たち(撮影・加藤哉)

舞台裏で待機する堺MARINEの選手たち(撮影・加藤哉)

コーチから指示を受ける前に自分たちで考え、行動する。

時には年下の子たちに声をかけ、導いていく。

舞台裏の片隅にあるカバンや道具はきれいに並べられていた。

MARINEが見せた演技もまた、素晴らしいものだった。

難易度の高い技と規律。それらが融合した美しさと、力強さ。

堺チアリーディングクラブMARINEの演技。個性を生かし規律正しいものだった

堺チアリーディングクラブMARINEの演技。個性を生かし規律正しいものだった

側で見ていた強豪校のコーチがため息をついた。

「大人に指示を出されなくても、上級生を中心に子供同士で話をしながら舞台の裏を動かす力があるんですね。すごいチームだと思います」

中学生にとっては簡単ではない3層のスタンツを見事にこなしている。

「2-2-1を、この時期からできるんだから。高校になっても、うまくチームに入れると思いますよ」

それが、部員100人近くを抱えるMARINEというチーム。

その秘密を探ると、ただ実力ある選手だけを育てているわけではなさそうだ。

まずチアを好きになる。

次に自分の行動に責任を持つ

そして、みんなが平等。

「このチームにいたんやで!」

そうやって自慢できるチームにしよう-。

それが原点にあった。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。