【150秒の青春】伊豆の国にチアを立ち上げ19年目!PowerfulKids初優勝

伊豆の国チアリーディングチームPowerful Kidsが、創部19年目で初優勝を飾った。ジャパンカップ日本選手権の自由演技競技ディビジョン1中学部門を制覇。競技チアに魅了された1人の男がゼロからスタートし、地道に育ててきたチームがたどり着いた悲願だった。(2回連載の第1話、敬称略)

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☆24日(火)は梅花高RAIDERSの登場!

☆伊豆の国POWERFUL KIDSの第2話は10月8日(火)掲載予定

茅ケ崎高チア部
3年生引退の日

【We Love Cheer! ミニ情報】

神奈川県立茅ケ崎高チアリーディング部の3年生が、9月14日に引退の日を迎えました。ジャパンカップはフライデートーナメントから決勝を目指すも、途中で演技中断という悔しい結果に。それでも高校3年間、チアに捧げた時間は永遠の宝物になることでしょう。3年生の皆さん、お疲れ様でした。そして1、2年生の皆さん来年のジャパンカップに向けてたくさん練習に励んでください!

茅ケ崎高チアリーディングのメンバー。前列が3年生(チーム提供)

茅ケ崎高チアリーディングのメンバー。前列が3年生(チーム提供)

準決勝2位から大逆転
揺れないスタンツでV

新幹線の三島駅から車で30分ほど。

伊豆半島の中心にある伊豆の国市。

夕方になると、大きな体育館に元気な子供たちが集まってくる。

近隣の小中学生だけではなく熱海や裾野、車で1時間近くかかる御殿場などからも生徒が通っているという。

2006年に産声を上げたチームはこの夏、初めてジャパンカップを制した。

「土建屋がたった5人から始めて、やっと日本一になったんですよ」

そう言って笑顔を見せたのは、相原健二監督だった。

今から19年前-。

知人に誘われて観に行ったチアリーディングに心を奪われた。

建設業を営む傍ら、地元にPowerful Kidsを創設。

あまりにも無謀にも思える挑戦は、また後日、描くことにしよう。

荒野にまいた種は時間をかけて芽が出て幹となり、ついに花を咲かせた。

自由演技競技ディビジョン1中学部門で初優勝した伊豆の国チアリーディングチーム。揺れない安定したスタンツで大観衆を魅了した(撮影・浅見桂子)

自由演技競技ディビジョン1中学部門で初優勝した伊豆の国チアリーディングチーム。揺れない安定したスタンツで大観衆を魅了した(撮影・浅見桂子)

9月1日、国立代々木第1体育館。台風10号が日本列島を直撃する中で、ディビジョン1の決勝が行われた。

中学部門は2連覇中の箕面自由学園中や梅花中、目白研心中などとともに堺チアリーディングクラブMARINE、あつぎチアリーディングチームなど強豪ひしめく。

前日の準決勝を堺MARINE(241.0)に次ぐ2位で通過したPowerful Kids(238.5)は、最後の150秒にかけた。

揺れないスタンツ-。

それこそが、こだわり、やってきたことだった。

最高に輝いた夏。

日本一の中学生チアリーダーになったメンバーの思いを取材した。

自由演技競技ディビジョン1中学部門 最終成績


順位チーム決勝総得点
1伊豆の国PowerfulKids255.0374.5
2堺MARINE239.0359.5
3箕面自由学園中231.0345.0
4梅花中219.5330.5
5目白研心中224.0328.0
6あつぎALL☆STARS210.0323.5
7広尾学園中214.0318.5
8キッズチア富山PUPPYS210.0317.0

※総得点は準決勝の50%を加算

2024年9月1日、ディビジョン1中学部門を初めて制し賞状を受け取る伊豆の国チアリーディングチーム(撮影・浅見桂子)

2024年9月1日、ディビジョン1中学部門を初めて制し賞状を受け取る伊豆の国チアリーディングチーム(撮影・浅見桂子)

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。