【札幌レター〈78〉】担当記者・保坂果那が見た新戦力〈下編〉

北海道コンサドーレ札幌がJ1残留に向けて今夏補強した7選手についての加入経緯や取材で感じた印象、裏話、現在の立ち位置を上下編で紹介する。下編はFW白井陽斗(24)、DFパク・ミンギュ(29)、FWアマドゥ・バカヨコ(28)、FWキングロード・サフォ(22)の4選手について掘り下げる。

サッカー

夢を持ってJ1に再挑戦

横浜対札幌 後半、ゴールを決める札幌白井(2024年9月4日撮影)

横浜対札幌 後半、ゴールを決める札幌白井(2024年9月4日撮影)

FW白井陽斗(24)
前所属:前所属:J3・FC琉球

7月16日にチームに合流。琉球ではリーグ戦18試合に出場し当時のリーグ得点ランキング2位タイの10得点を挙げていた。今季琉球をJ2昇格に導く強い覚悟を持っていたため、シーズン途中での札幌への移籍を悩むも「自分の夢を優先した」とJ1での再挑戦を決断した。

当時の札幌は開幕からFW陣のゴールがない状況だった。ポジションについては「ゴールに迎えるポジションならどこでも」と話していた。クラブはもともとシャドーでの起用を想定して獲得したとみられるが、練習ではまずウイングバックの位置で試されていた。持ち味のスピードを生かせるものの、下位カテゴリーながら結果を残し、得点感覚がさえていた白井も前線のポジション争いに割って入るのは簡単ではなかった。

リーグ戦では試合直前のアクシデントで急きょメンバー入りするなど、“19番目”が続いていた。終了間際での出場で、プレー時間は5試合で計11分のみ。9月4日ルヴァン杯準々決勝アウェー横浜戦(1-6)では後半32分から投入され、5分後に札幌での初ゴールを決めた。プレー時間は18分。唯一先発した8月21日天皇杯4回戦千葉戦(0-1)をのぞき最長。「ホッとしている」と話していた。「ある程度の時間をもらえれば、結果を出せると示せたのでは?」と聞いてみた。すると「何分でも決められる選手になっていかないといけない。札幌では出場が簡単ではないとわかった上で来たので」と受け止めていた。

J3でのブレークの理由は「誰かがやってくれるだろうという気持ちではなく、自分がやらないと誰も助けてくれないと思うようになったから」と自己分析していた。逆境をはね返すメンタルを持っているはずだ。

妻が日本好き

横浜対札幌 前半、横浜井上(右)と競りあう札幌パク・ミンギュ(2024年9月4日撮影)

横浜対札幌 前半、横浜井上(右)と競りあう札幌パク・ミンギュ(2024年9月4日撮影)

DFパク・ミンギュ(29)
前所属:韓国1部金泉尚武FC

すぐにペトロビッチ監督の信頼を勝ち取った。6戦連続先発中で、チームの結果は3勝2分け1敗。勝ち点獲得に貢献している。4試合でチーム最長の走行距離を記録。よく走り、よく守り、献身性を見せている。

今季左サイドは流動的だ。左センターバックの開幕スタメンはDF中村桐耶だった。中村は元FWだけあって攻撃に積極的に参加する推進力が持ち味だが、守備では判断にまだ迷いがある。左ウイングバックが主戦場のFW菅大輝との連係がなかなかかみ合っていなかった。菅がセンターバックに入ることも増えたが、持ち味の仕掛けが出せなくなり「正解がわからない」と葛藤していた。そんなポジションに安定感をもたらしたのがパクだった。

元札幌で現京都サンガのGKク・ソンユンから札幌入りをすすめられたこと、中学時代から親しい同学年のFWキム・ゴンヒが所属していることで、チームに慣れるまで時間がかからなかったのも大きい。「奥さんが日本のことが好きみたいで、自分より移籍を喜んでいた」と家族の後押しも力に変えている。

代表より札幌

札幌対鳥栖 後半、PKを決める札幌バカヨコ(撮影・佐藤翔太)

札幌対鳥栖 後半、PKを決める札幌バカヨコ(撮影・佐藤翔太)

FWアマドゥ・バカヨコ(28=シエラレオネ)
前所属:スコットランド1部ダンディー

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スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。