【友野一希の言葉】 試行錯誤した「王者のメンタル」 実感した全日本の難しさ

友野一希(26=第一住建グループ)は、5位で全日本選手権を終えました。自分のメンタルをコントロールしながら、独特の雰囲気が漂う大会を滑りきりました。

フリーを終えた後には、今後の競技生活への見通しも口にしています。前日練習から、SP、フリーを終えるまで、「友野一希の言葉」をお届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇大阪・東和薬品RACTABドーム◇男子フリー

「僕はここで結果を出さないと…」

前日練習(19日)を終えて

―現在のコンディションはいかがですか

結構大阪の全日本選手権は自分としてもいいイメージが多いので。特にフリーしたはすごくいいイメージがある会場なので。全日本はちょっとショートがいつも悔しい思いをしているので、ショートでいい演技をしたいです。

―ショートがカギになりますか

そうですね。ショートで勢いづけていけたら、で、そのまま行けたら。

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

―目標はどこに設定していますか

僕はここで結果を出さないとなかなか選考にもかかってこないと思うし、難しい立場になると思うので。もうそこは1番目指して、上だけ目指してやる。気持ちはそういう気持ちで、そこは空回りしないように。内容については自分のやってきたことをまずは出し切りたいと思います。

―けがの状態はいかがですか

何も問題なく、全日本までの練習はいつも通りの練習をしっかり積めてきました。

―目標は優勝ですか

そうですね。優勝を目指して。

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

―冷静さと燃える気持ちをどうマネジメントしていますか

練習での目標設定じゃないですけど、難しいな…。なんか普段の日々の大きな目標、目指すべきものはやっぱり優勝と言いますか、そこは目指して悪いことはないし、まずはそこ。まあでも、具体的に何をっていうと、やっぱりまず自分はしっかり自分の演技を多分出し切ってできるかどうか、届かないかもしれないぐらいの位置かもしれないですけど、まずは自分の演技を出し切ることが目標だし、その先にやっぱ何が起こるかわからないですし、1番の目標としては優勝っていうのを掲げた上で、まずは目の前のことに集中して、1つ1つこなしていけたらいいなというふうに思います。

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

公式練習に臨む友野(撮影・前田充)

―SPとフリーの練習の割合を教えてください

今年は比較的ショートがうまくいってるので、結構フリーを。まあまあ、そうですね。ショートが苦手と言いつつ、なんだかんだフリーで結構決まるところはあるので…。でも昨年は結構ショートの点差で結構悔しかった部分もあったし…。でも、もうどっちも満足いくまで練習してきたつもりです。

男子SPに向け練習する友野(撮影・前田充)

男子SPに向け練習する友野(撮影・前田充)

「もったいねえな、友野だなっていう演技」

20日のSPを終えて テレビへの取材対応

―演技を振り返って、いかがでしょうか

最後自分に戻っちゃったので。いつもショートは結構抑えにいったり、ナーバスな気持ちが前面に出ることが多いので、もう今日はなんか逆張りというか、チャンピオンメンタルっていうんですかね。会場入りの時から王者のような風格を出しながらやるっていう試みをしたんですけど、前半まですごい今までの経験もありますし、すごい落ち着いてできたのがよかったんですけど、アクセルの前ちょっと一瞬催眠が解けた感じして、「いつも通り」、「練習通り」って気持ちでいったら、ちょっと最後気持ちがいってなかったかなと。あと、最後ちょっと足がすくんでしまってスピンも丁寧に行きすぎたので、そういったところが出ちゃったのは悔しいですけど、この雰囲気でこれだけ持ってこれたのは経験あってのことかなと思いますし。もったいねえな、友野だなっていう演技にしてしまいました。

男子SPに向け練習する友野(撮影・前田充)

男子SPに向け練習する友野(撮影・前田充)

―最終滑走でしたが、滑走順は影響しましたか

いや、もうなんか最終滑走で、明日も最終滑走でっていう気持ちで行ったので、明日も同じような感じで、王者メンタルで行きたいなと思っています。

―どのような演技を意識していますか

もうベテランって言われるようになりましたけど、ならではの。質の高い、クオリティの高い、勢いとか、そういったものが両立できればいいかなと思うし、トータルで、見てよかったな、見に来てよかったなって思ってもらえるような演技ができるように、自分も後悔がないように、この勢いのまま頑張りたいと思います。

男子SPで演技する友野(撮影・前田充)

男子SPで演技する友野(撮影・前田充)

王者メンタルでいく

20日のSPを終えて ペン記者への取材対応

―今は悔しいですか、「やった」という感情ですか

「やったな」はないですけど、悔しいもないし、なんかもったいねえっていう気持ちしかなくて。ステップから足がうきうきだったので、一番ステップからスピンの流れを練習したのにそれが発揮できなかったのはちょっと悔しいですけど、まあまあ…。でもまあ、この試合の雰囲気の中、あれだけ持っていけたのはすごい成長だなと思いますし。いやもう「今だろう、ショートのノーミスは」っていう気持ちで入って、だいぶずっとできてなかったんで、いい演技が。今日だなっていう気持ちが、今日は僕の日だなっていうのはあったんですけど、それは明日に取っておくっていう形になりましたので、良かったんじゃないですかね、逆に。出し切り過ぎなかったのが明日につながるかなと思います。

男子SPで演技する友野(撮影・前田充)

男子SPで演技する友野(撮影・前田充)

―ひとつひとつ決まっていく中で、心の波はいかがでしたか

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スポーツ

竹本穂乃加Honoka Takemoto

Osaka

大阪府泉大津市出身。2022年4月入社。
マスコミ就職を目指して大学で上京するも、卒業後、大阪に舞い戻る。同年5月からスポーツ、芸能などを取材。