仙台大・渡辺一生「体に大きな変化つけない」ドラ1プロ入りへカギは“安定” インスタが分岐点

  • 24年7月、侍ジャパン大学代表対侍ジャパンU23代表候補 力投する侍ジャパン大学代表の仙台大・渡辺

仙台大の渡辺一生投手(3年=日本航空・BBCスカイホークス)が「ドラフト1位」を掲げ、大学ラストイヤーに臨む。仙台6大学の最速152キロ左腕は昨年、春秋連続リーグ優勝に貢献。大学日本代表にも選ばれ、第31回ハーレムベースボールウイーク、第43回プラハベースボールウイークと優勝した。経験を積み、大きく成長した昨年をベースに、今年は安定した投球を目指す。

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見据えるのはドラフト1位でのプロ入りだ。渡辺一は「今年は勝負の年でもあり、自分との闘いになります」ときっぱり口にした。カギは“安定”だ。「1年間を通して結果を残すことが目標です。変な波をつくらないようにするためにも、体に大きな変化をつけないようにしたいです」。筋肥大を目的としたウエートは避け、体幹やストレッチ、ピラティスなどで体調管理や柔軟性に特化して体をつくるつもりだ。

昨年を「人生の分岐点になりました」と振り返る。新たな挑戦をした。デジタル野球ノートを始めた。「大学生になると授業もパソコンでペンを持たない日がほとんどなので、毎日使うスマホを野球ノート代わりにしました。自分自身を縛るためにも、誰でも見られるSNSを選びました」とインスタグラムを活用。投球やトレーニングなどの動画とともに、その日のメニューや体の状態、振り返りなどを細かく記載し、誰でも見られるよう公開した。

効果はすぐに表れた。「1、2年の時は、投球練習で調子が悪いとやけになってやめていました。昨年は悪いままで終わらせず、いいボールがいくまでやっていたので、調子の崩れがなくなりました」。不調の際も、好調時の動画や内容を見返すことで、いいイメージが湧いた。その結果、試合での修正能力が身につき、自信につながった。好循環をもたらした。

現在のフォロワーは2万4000人。遠征先でも知らない人に声をかけられることが増えた。「たくさんの方が見ているからこそ、練習試合1つとっても、変なピッチングはできないですし、毎試合、緊張感が生まれるようになりました」と効果を実感する。1球1球に自覚が芽生え、メンタル面も強化された。

大学ラストイヤーを迎える。昨年は春秋とリーグ優勝はしても、全日本大学選手権は2回戦止まり。神宮大会には出られなかった。「お世話になった指導者の方やチームメートに恩返しするためにも、全国優勝の景色を見せてあげたいです」。集大成の1年が幕を開ける。【木村有優】

◆渡辺一生(わたなべ・いっせい)2003年(平15)12月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。横浜中央リトルで野球を始め、中学では大和ボーイズでプレー。関東の高校から、20年11月に日本航空(山梨)の通信教育課程に転校・編入。神奈川・大和市を拠点とするクラブチーム、BBCスカイホークスで野球を続け、22年に仙台大に入学。同大では1年春からベンチ入り。3年春にはベストナイン、最優秀選手賞、最優秀投手賞に輝いた。同年に大学日本代表に選出。最速152キロ。171センチ、71キロ。左投げ左打ち。好きな女優は吉川愛。