【7日開幕】甲子園にも必ずや潜む 現認者・金子真仁記者の2024高校野球マモノ論

夏の甲子園が8月7日に開幕します。7月の地方大会にもドラマの数々がありました。特に関東地区では試合終盤のビッグイニングで試合の流れががらり一変するケースが多々。連日のようになぜかそんな現場にいて「魔物か?」とも言われた記者が、ビッグイニングの背景に迫ります。

高校野球

フォロワーからの反応

行く球場行く球場で、何かが起こる―。

プロ野球選手にも人気な日刊スポーツの正月紙面の占いで、自分の今年の「星の強さ」はなんとなく予感していたし、人生で初めてアメリカに行ったし(しかもなぜか2度も)、いつもと違う年だなとは思っていたけれど、まさかここまでとは。

SNSでつぶやいたら「金子さんは高校野球の魔物ですか?」とフォロワーからの反応があった。あぁ、確かに。「甲子園には魔物がいる」と言うけれど、引きの強さを考えると、私の存在はほぼマモノだ。

マモノなりに責任を取ろう。なぜ、強豪校は終盤にビッグイニングに見舞われるのか。4つの事例を元に謎に迫る。

【マモノ1】7月17日・神奈川大会5回戦/横浜隼人6-4相洋(サーティーフォー保土ケ谷球場)

序盤に横浜隼人が先制し、5回までに相洋が逆転した。横浜隼人になかなか安打が出ず、相洋は3人の好投手がいる。

5回裏、球場の構造上、カメラマン席が選手ベンチと後ろでつながっている。休憩に来た岩城匠海内野手(3年)が、この日まだ登板していないプロ注目エースの沼井伶穏投手(3年)に言う。

「大丈夫だから。絶対に1点リードでおまえに回してやるから」

岩城の表情になんとなく感じるものがあった。「逆転の隼人」というネーミングはあるが、劣勢でたまにベンチが沈んでしまうことも過去にはあった。

そして2点リードされたまま、9回表も2人で2死を奪われた。ここまでか。

ただなんとなく「予感」を残したのは、ボール球に対して、ベンチが泣き叫ぶようにわくことである。

2死後、下位打線が連続四球。確実に変わるグラウンドの雰囲気。

この日、基本的に登板予定がなかった沼井も準備を始める。彼は「いつでも投げられるように」と試合中、常にグラブをはめていた。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。