師匠文枝のダメ出しから6度オチを変更 「金髪の噺家」桂三実、祝!NHK新人落語大賞

桂三実(31)が「令和6年度NHK新人落語大賞」を受賞しました。2年連続決勝進出のうえ「ラストチャンスのつもりで」臨んだ舞台でのうれしい大賞。それはオチに悩み、6度も変更した末の栄冠でした。

ここまで積み上げた新作落語は100作を数え、12月11日には節目の独演会を行います。

お笑い

◆桂三実(かつら・さんみ)1993年(平5)5月1日生まれ、名古屋市出身。2012年5月、6代桂文枝(当時三枝)に入門。2021年上方落語若手噺家グランプリ準優勝。2024年NHK新人落語大賞。趣味は散歩、あやとり、テレビ鑑賞。身長167センチ。

顔が似ている有名人は、阪神タイガースの新監督藤川球児氏、歌手の城みちる。

11月18~20日、12月1、8日に大阪・天満天神繁昌亭出演。12月11日には繁昌亭で独演会を行う。

NHK新人落語大賞に輝いた桂三実(撮影・三宅敏)

NHK新人落語大賞に輝いた桂三実(撮影・三宅敏)

オチ6度変更の末の栄冠

NHK新人落語大賞は15年目までの噺家(はなしか)が対象。13年目の三実には、まだ2年チャンスは残っていたが、それでも「ここがラストチャンス!」と、ひそかに決めていた。

三実昨年、今年と2年連続で決勝進出させてもらって。「さすがに3年連続とは行かないやろう」と思っていました。今回、優勝して(この大会を)卒業するのがベストだと、必勝の気持ちでした。とはいえ、さほど緊張はありませんでした。(天満天神)繁昌亭(大阪)や喜楽館(神戸・新開地)の出番と同じような感覚で臨むことができました。

その決勝で演じたのが創作落語「早口言葉が邪魔をする」。隣の客はよく柿食う客だ、など早口言葉をちりばめたネタで、何度も早口言葉が登場する。見ている側は「最後までかまずに終えられるのか?」とハラハラするが、本人の悩みは最後のオチにあった。

三実決勝の10日ほど前だったでしょうか。師匠(6代桂文枝)から連絡をいただいて「どんなネタでいくんや? いっぺん見てみるわ」と。ありがたいけど、本音は「いややなあ」ですよ(笑い)。で、実際に師匠の前で演(や)りまして「オチがちょっとなあ…」とか、いくつかの助言をちょうだいしました。そこは素直に「そうですか、ありがとうございます」と礼を伝えて別れたのですが、こちらとしては迷うわけですよ。変えた方がいいのか、最初のままでいいのか。その後、師匠から「言ったことを全部その通り聞かなくてええで」と電話をいただいて、それがまたプレッシャーになって(笑い)。

本番まで時間がない中、他の先輩落語家からもアドバイスを受けた。試行錯誤。結局6度もオチを変更し、最終形が固まったのは本番2日前だった。

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エンタメ

三宅敏Satoshi Miyake

Osaka

大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。
主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。
2011年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、2022年から記者として復帰。吉本のお笑い芸人などを取材している。
好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。